LoRa Alliance LoRaWANシステム開発環境 Comcast LoRaWAN参入

LoRa Alliance 

LoRa AllianceはアナログICとミックストシグナルICメーカSemtechIBM2015年設立、LoRaの規格化やその推進しいている。LoRaはオープンソースの規格で、このAllianceが相互接続を保証するためにテストや認証を実施している。LoRaWANの通信距離はほぼNB-IoTと同等(都市部数Km、見通し15km)、最大通信速度250KHzの双方向通信である。規格詳細はLora Allianceホームページにあるのでこれを参照いただきたい。
LoRa通信方式を開発したのはCycleo(半導体ICベンダー)で、Semtechはこれを20125Mドルで買収し、2013年からLoRaチップおよびこのチップを搭載したLoRa通信モジュールの供給をしている。

STMicroelectronics社もSemtechと提携して、LoRaチップの製品化アナウンスをしている。推測だが同社はLoRaセルをSoCに搭載するものと思われる。SemtechCPU関連製品はラインナップにない)にとっても単なるセカンドソースに技術供与するとは考えにくい。LoRa内蔵のSoCが製品化されれば、センサーとバッテリーを付加するだけで低消費電力・小型・安価なIoT端末が容易そしてより安価に製品化できるはずである。LoRa市場拡大をさらに加速することになるであろう。

LoRaWANは急速に世界各国に拡大中

LoRaWANは多くの国々で通信キャリアが中心となり全国展開中である。
オランダ:KPN                ベルギー:Proximus         スイス:Swisscom
フランス:Orange            フランス:Bouygues         ロシア:Lace
南アフリカ:Fastnet        米国:Senet                       ニュージーランド:Kotahinet
(日本:ソフトバンク)(韓国:STマイクロ): ()内掲載済
ほとんどは既存大手通信キャリアであるが、SenetKotahinetは通信サービス新規参入である。韓国SK Telecomは既に紹介したように、韓国全土の99%のエリアでLoRaWAN敷設済みである。上記の国々でもかなりのエリアをカバー済みか、その途上である。
ページを改めて紹介するSigFoxの通信サービス会社のほとんどは新規参入企業なのとは異なっている。SigFoxが通信やクラウドをSigFox自ら独占サービス提供するので、このような差になっているか、SigFoxが意図してこのような方針なのかは不明。

LoRaWAN IoTシステム開発環境


LoRaWANは無線通信機能しかもたず、IoTの観点からすればごく一部を構成しているだけである。しかしオープンソースの強みから、LoRaWANベースIoTを構築しようとする企業に対し、IBMやActilityがすでに開発サポート体制を用意済である。NB-IoTはサービス開始は未だだが、LPWAの主力になると目されてはいる。しかしLoRaWANほどのサービスサポート体制までたどり着くのは時間がかかりそうである。通信キャリアがLoRaWANに取組みはじめた理由の一つであろう。

IBM
IBMが提供するLoRaWANのソフト環境はLora Alliance創業の1IBMがオープンソースで提供しているが。IBM直接サポートはないが、LoRa Allianceの下部組織OpenLORA ForumLoRaWAN利用者のサポート活動の一環として、サポートしている。 
IBMLoraWANソフト環境はLRSCLong Range Signaling and Control)という高効率のM2MLoRaWAN)インフラ、LoRaWAN Cなどがある。
IBMの資料はよく理解できていないので、間違っているかもしれない。以下の記述はIBMの資料で確認していただきたい。LRSCはセントラルサーバに数百数千のゲートウェイ(少数から多数までスケーラブルに)に接続し通信量や消費電力は最適化する。サーバから数千数百のルータ経由で各アプリケーションに接続する。MAC層のCryptolink(OpenVPNのように暗号化されたトンネル?)は、ゲートウェイ、セントラルサーバ、アプリケーションルータおよびアプリケーションロジック間のアプリケーションレベルのセキュリティ等に適用される。これにより不正侵入や盗聴が極めて困難になる。
LoRa端末にLRSCを実装するためのIBMLoRaWAN in C」も用意している。
LoRaWAN in C」はオープソースの中で最も制約のないBSCライセンスなので、改編・商用化などの制約はないと思われる。また「LoRaWAN in C」はSemtech LoRaチップを搭載したドイツ通信モジュールメーカEmpire社を想定している。他のLoRa通信モジュールやMicrochip社のLoRaチップの製品使用の通信モジュールのためには「LoraWAN C」のカスタマイズが必要のようである。オープンソースの常としてIBMの直接サポートはなく、上記のようにOpenLORA Forumのサポートを頼ることになる。
IBMは自社の高度なセキュリティを実装した通信関連ソフトやクラウドサービスをビジネスにするために、その下部レイヤーサポートソフトをオープンで提供していると思いわれる。

Actility
ソフトバンクがパートナーとしている仏ベンチャー企業Actility社もクラウドとその接続のためのAPIを提供している。このAPIoneM2M/ETSI標準準拠の上、oneM2MAlljoynと提携しているので、Alljoinの豊富なソフトライブラリーを活用できると思われる。なお日本ではoneM2Mは一般社団法人情報通院技術委員会の下部組織がサポートしている。をまたActility社の提供する製品やコンサルタントはThingparkの名称で、Webでも関連のハードソフトの購入が可能である。
またParis本社の他国内2か所、海外4か所(UKSingaporeNetherlandBenelux)にオフィスを構えている。ソフトバンクのパートナーとして日本オフィスも考えられる。
LoRaWANの端末デバイス開発の手引書「LoRa Device Development Guide」(仏通信キャリアOrange社とActilityが提供)はLoRaWANのデバイス開発の詳細記述があるので、開発に携わる人にはとても参考になるはずである。
 
ActilityIBM同様その目指すものは、IoTビジネスの中で最も利益が大きいとされるクラウドサービスにあると考えられる。IBMとの違いはより下層レイヤーのセンサー端末の開発手引書作成に携わったり、その開発サポートを積極的に推進しているところにある。LoRaWANベースIoTシステムをトータルにサポートできるので、LoRaの取り組みをスタートする企業にとって、短期間、確実にゴールにたどり着く手法・方法を用意していると考えてよさそうである。ソフトバンクがパートナーとして選んだだけのことはある。

米国最大のCATV会社ComcastLoRaWAN参入
20161053千万世帯超加入者の米国最大のCATV会社ComcastLoRaWANのトライアルをPhiladelphia and San Franciscoで年内に開始するとアナウンスした。同社は大手インターネットプロバイダー、専門放送チャネル提供者でもある。また201511USJ(ユニバーサルスタジオジャパン)を1800億で買収したことでも知られている。
ComcastのアナウンスはB2BソリューションとIoTプラットフォームを構築するMachineQの一環として、Semtechの技術であるLoRaWANを使ってトライアルに取組み、成功すればLoRaWANLoRa関連サービス米国のビジネスと都市エリアに展開しようというものである。またLoRaWANを既設80KmHFCHybrid Fiber Coaxial:光ファイバーと同軸ケーブルの混合配線)を補完するもの位置づけ、サーバ・ソフト・デバイスを新設のLoRaWANプラットフォームとシームレスかつセキュアに接続する。
映像メディアの最大手のComcastLPWAN分野進出は、通信キャリアとはかなり異なった視点からのビジネスになると考える。LPWANのさらなる可能性を見せてくれれば、さらに活気をもたらすはずなので興味は尽きない。
別項を設ける予定だが、2016104AT&TLTE-Mのサービスを大々的に展開するとアナウンスしている。

思いがけない分野からの超大手企業参入でLoRaWANだけでなく、LPWA市場に活気をもたらし、その普及がさらに早まることになろう。

現在では先行しているSigFoxが最も普及しているようである。LoRaWANサービス開始をアナウンスしたほとんどの通信キャリアは今年になってからである。さらに上記のComcastなどの参入で、LoRaは一気に免許不要のサブG帯の圧倒的トップに躍り出てくるかもしれない。
SigFoxも負けてはいないであろう。100bpsの低速だが最大通信距離50km、年間通信費用1ドル、またユニークなビジネスモデルで、欧米の多くの国、最近ではアジアにも積極的に進出している。
LoRaWANとの激しい争いになろう。

前頁「LoRaWAN全国展開済みの韓国とこれから動き出す日本の違い」のソフトバンクの項に以下を追加するソフトバンクはLTE-M1通信モジュールを大洋誘電とイスラエルAltair Semiconductor(ソニーが2016年1月買収)の協力で開発した。2017年からサービス開始としているので、韓国SK Telecom同様低速から高速までシームレスなサービスを構築することになるのであろう。

⇒ 次回SigFoxを予定

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