M2M/IoT用 携帯回線LPWA Ⅲ NB-IoTはHuaweiが推進

NB-IoT規格策定を推進したのは中国通信機メーカHuaweiであり、ビジネスを力強く展開しようとしているのもHuaweiである。
Huaweiホームページによれば規格策定スタートから承認までの経緯は以下の通りである。

2014年5月 HuaweiとVodafonでNB-M2M方式策定
     9月 Huaweiは英国通信用ICメーカNeul社を25百万ドルで買収
    10月 Qualcomm(NB-OFDM方式)と連携 NB-CIoTに改称
2015年7月 Ericsson(HB-LTE方式)と連携
       9月 3GPPに上記4社などを中心に正式提案、NB-IoTと改称
2016年2月 3GPPが Lelease13の一部としてNB-IoTを公開
     6月 3GPPがLelease13の中でNB-IoTを正式承認
 Vodafonと提携してから3GPP正式提案からほぼ2年で承認されている。国際通信規格がVodafoneと提携後2年という短期間で正式承認されたのは驚きである。国際規格承認までの各国間の交渉は技術戦争という言葉さえあるくらい、厳しい争いになるのが当たり前のことと聞いている。Huaweiの通信技術力の高さと、業界での政治力の強さを、世界に示したといってよさそうである。

Neul社はホワイトスペースを活用した通信用IC技術で抜きんでているが、Huawei買収当時TVホワイトスペース用ICビジネス(Weightless W 後述予定)が停滞し倒産の危機状態と聞く。Huaweiは傘下に入ったNeul社の技術をNB-IoTの中核に位置付けている。Neul社ICベースの通信モジュールはLTE通信のガードバンド(干渉を防ぐために設けられた帯域(通信チャネル帯域幅1.4MMHz))を使用する。バッテリー1個で10年稼働できるほど低消費電力で、通信速度は最大200Kbps、通信距離は環境によって異なるが数Km~20Kmの範囲をカバーする。またセル(基地局相当)あたり5万回線を収容できる。

Huaweiは既に既に10か所くらいでMB-IoTを評価中としているが、市場に出回るのは本格的システム稼働は2017年後半または2018年初のようである。トータルシステム開発に必要な開発環境やシステムサポートの体制を整えつつある。NB-IoT用ICはNeulの他QualcommやIntelまたNordicも2016年7月にNB-IoTおよびCatM用ICを開発中であることをアナウンスしている。Neulは先行しており間もなく出荷が見込まれているが、他のICメーカが製品を出荷するのは来年以降のようである。

中国政府もIoT通信分野にも力を入れており、Huaweiは強力な政府のサポートを得ているものと思われる。GSMA(GMS Assorciation はCAICT(中国通信員)の協力を得て、通信オペレータの分析をしている。中国市場のNB-IoT市場急成長が予測され、現在0だが3.5年後の2020年は7.3億回線が設置されるとしている。現在1億の既存回線M2M通信も2020年には3.5億回線になり、合わせると中国の携帯回線によるM2M/IoTは10億回線を超えるという驚異的な数になる。当然通信モジュールやその先繋がるセンサー関連部品は大幅に価格が下がり、市場拡大のアクセルがさらに踏み込まれることになる。

他の既存LPWAに比べると携帯回線通信モジュールは複雑なので高価になると言われているが、免許不要の既存LPWAは10社くらいが覇を競っており、設置数の多い方式でも1千万台程度である。Huaweiが上記の生産を達成できれば、生産量で十分な価格競合力が期待できる。

HuaweiホームページのNB-IoT資料



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